遺留分制度の見直し (2)
事業承継における紛争リスクの軽減
遺留分侵害額請求が金銭債権となったことの大きなメリットの一つは、
遺言者の意思を尊重し、事業承継の円滑化に資することです。
改正前は、会社の土地建物が複雑な共有状態になり、
事業の承継に支障が出てしまうことがありました。
金銭請求化により、遺産の目的物自体が共有になる事態は避けられ、
遺言で財産を受け取った人は、単独で所有権を保つことができます。
金銭支払い義務者への「支払期限猶予」
金銭を支払う義務を負った人が、すぐに現金を準備できない場合もあります。
この点も考慮され、改正法では、金銭を支払う者が裁判所に対し、
支払期限の猶予を求めることができる規定も設けられています。
これにより、相続人同士の紛争を避けつつ、実態に合わせた柔軟な解決が可能になりました。


